OBD 車検

一般整備

自動車の車検が大きく変わろうとしています

OBD(オン・ボード・ダイアグノーシス) 検査と言われていますが

現在の車検だとコンピューター内部にエラーがあったり 故障コード

(異常を知らせるNo)

が入っていても 警告灯 (エンジンマークやABS エアバッグなどのランプ)が

点灯していなければ合格

今後 OBD検査が開始されれば 警告灯が点灯していなくても コンピューターの中に特定の故障コードが入っていれば 不合格

その判定をするために スキャンツールで故障コードを呼び出し

車検時に該当故障コードがないことを提示しないといけなくなります

現在のところ どういう提示方法になるかは はっきりと決まっていないようです

 

特定整備とOBD検査は

先進安全自動車 (自動ブレーキや斜線逸脱警報つき車両など)に

対応するための改正で

フロントガラスにカメラがついていたり フロントバンパーやグリルにレーダーがついていて

自動でブレーキがかかったり (衝突被害軽減ブレーキ)

走行車線から飛び出さないように警告したりしますが

飛び石などでフロントガラスが傷やひび割れして交換になる場合

カメラはフロントガラスについているため 1度ガラスの取り外しをして

カメラを新しいガラスに付け直し 車体に取り付けることになり

まったく 同じ位置 角度ではなくなるため

フロントガラスを車体に取り付けたあと カメラの角度を調整して

外す前と同じ状態にしなくてはいけません

 

同じように フロントバンパーをぶつけて交換する場合や取り外して修理する場合などは

バンパーやグリルなど 見た目は同じようにみえても

微妙にレーダーの位置や角度が変わりますので 角度を調整する必要があります

 

注意事項として 修理後に バンパーが適正に装着されていなかったり

修理が不適切で歪んでいたりした場合

タイヤサイズが変更されていたり 改造により車高が変わっている場合などは

エーミングが正常に終了せず エラーになる場合があります

また タイヤの空気圧などもメーカー指定の状態にしないといけません

 

この交換後の調整作業が エーミング(正しく作動するための校正作業)と言われていて

費用は 今のところ約15000円ぐらいの相場のようですが

メーカーや車種 作業工場によって 作業方法などが変わるため 異なる場合があります

仮に エーミングをせずに 終了してしまうと

自動ブレーキが正常に作動しない恐れがあり

何もないところで急ブレーキがかかる

逆に 自動でブレーキがかからないといけない時に

作動しないなどの不具合が考えられるので

そういった不具合を防止するために OBD検査が導入され

コンピューターの内部に エーミング未実施 エーミング未完了などの

故障コードが残っている場合 またはカメラやレーダーが故障していて

故障コードが入っている場合

車検不合格になるということになります

今後 国の方針として 何年後かには

自動ブレーキなどの装備の装着を義務付ける方針のようで

現在オプション装備の車にも標準装備化され

先進安全自動車が今よりも普及するようになるでしょうから

 

対応スキャンツールがない工場、新型車に対応するためにスキャンツールのソフト更新が

できない工場は故障コードが出せないようになり

車検ができない、または対応できる工場への外注

なんて流れになるのかもしれませんね

スキャンツールの購入も高額ですが スキャンツールのソフト更新にも

費用がかかりますから購入しても 維持費がかかります

ディーラーは自社での取り扱い車種に対応できればいいですが

うちのような工場は最低でも自社で扱っている国内メーカーへの対応ができないと

いけないので 自動車整備工場も これから 本当に大変です

 

坂本自動車では

車検でご入庫いただいた車両は

スキャンツール(故障診断機)で診断し

故障コードの確認をさせていただいてから

お見積りさせていただいておりますが

 

カメラやレーダーに関する整備、エーミング作業については

特定整備とされ

令和2年4月1日以降 (一定条件下で整備工場に対して4年間の猶予期間ありですが)

特定整備の認証を受けた工場で

かつ国の認める資格を有した整備士

(1級整備士または国が定めた講習を受けた2級整備士)でなければ

できないことになるため

 

現在 対応できるよう準備しており

特定整備工場 整備主任者になるための 講習と試問を受けてきました

講習ではメーカーの整備書に従い 現行プリウスで

紐を使いエーミングをしましたが

実際の作業には 下にあるようなサポート機器がなければ 作業に3人程度必要で

ミリ単位での位置だしが必要なため 紐などを使った場合

作業者による誤差が多すぎて 正確な作業はできない状態でした

高額な機器になりますが 確実な作業には 必須になると感じ

購入の検討をしています

 

試問合格後 整備振興会 指導課へ行って

申請について お聞きしたところ認証工具については

エーミングなどに関する作業サポートつきのスキャンツール

ターゲットのセット位置などのデータ入手可能であること(ファイネス加入など)

と水準器などで

 

特定整備認証の申請については

申請用紙の様式すら決まっていないようで まだ時間がかかりそうでした。

 

 

国交省から発表されております

国交省、OBD活用した車検についての最終報告書を公表

国土交通省ではこれまで、自動運転技術等に用いられる電子装置に対応した新たな自動車検査手法の導入に向けて検討してきたが、3月13日、車載式故障診断装置(OBD)を活用した検査手法の導入に向け、制度面・技術面の詳細について議論を重ね、今後の方向性について報告書をとりまとめた。

自動ブレーキ等の自動運転技術については、近年、軽自動車を含む幅広い車両への搭載が進んでいるが、これら技術は、交通事故の防止に大きな効果が期待される一方、故障時には誤作動等により事故につながる恐れがあることから、使用時においても、確実に機能維持を図ることが重要となる。

 

このため、国交省では、自動運転技術に使用される電子装置まで踏み込んだ自動車検査の手法について検討するため、平成29年1月から「車載式故障診断装置を活用した自動車検査手法のあり方検討会」(座長:須田義大東京大学生産技術研究所教授)において、審議を重ね、今回、報告書をとりまとめた。

 

国交省は報告書に基づき、車載式故障診断装置を活用した検査(OBD検査)の開始までに各関係者が連携を図りつつ準備を進められるよう努めていくとしている。

 

 

 

[報告書の主なポイント:OBD 検査の対象等]

 

<対象車>

 

2021年以降の新型の乗用車、バス、トラック(※1)

 

<対象装置>

 

[1] 運転支援装置:アンチロックブレーキシステム(ABS)、横滑り防止装置(ESC)、ブレーキアシスト、自動ブレーキ、車両接近通報

 

[2] 自動運転機能(※2):自動車線維持、自動駐車、自動車線変更など

 

[3] 排ガス関係装置

 

<検査開始時期>

 

2024年(※3)

 

※1:認証を受けた自動車に限る。輸入車は2022年以降の新型車
※2:保安基準に規定があるものに限る
※3:輸入車は2025年

※最終報告書本文については、ホームページの「車載式故障診断装置を活用した自動車検査手法のあり方検討会」で確認できる。

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